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 11月最後の週を迎えてからというもの、めっきり冷え込んできた。ちょっとでも強い風が吹こうものなら、たまったものでない。朝晩の自転車通勤途中などは尚更である。

 そんな季節になると楽しみなのが(いや暖を取る上で欠かせないというべきか)、筆者にとっては何を隠そう「中華まん」なのである。フラッとコンビニに寄って、簡易包装で済ませて、小銭感覚で勘定もラクで、片手で食べれて...この手軽さは代え難い。小腹が空いた時、何となく暖まりたい時に打ってつけ、そんな中華まんの季節到来を嬉々としている訳である。

 中華まんのデビュー当時は、肉まん・あんまんのツートップだったが、ちょっと溯ったあたりで、カレーまん、それに相次いでピザまん、その4種時代がしばらく続いていたように記憶している。が、ここ10年間、コンビニの成長に応じてなのだろうか。冬が訪れる度に、コンビニに並ぶ中華まんの種類も多様性を増すようになってきた。(あんまりいろんな種類が並ぶもんだから、すでに「中華まん」という括りでは収まらなくなっている?)

 バリエーションが豊富になるについては歓迎なのだが、どこに行けば何が食せるかがわからなくなってきているのも困りもの。ここでちゃんと整理しておこうと思い、今回は閑話休題調だが「中華まん」ネタで一つ。(余談だが、毎月15日は中華の日なんだそうな。)

 さて、どれだけ多様化しているか、近年覚えている範囲で書き並べてみる(とりあえず50音順)と、

 エビチリ、海鮮(ちと不確か)、牛すき、じゃがバタ、チーズ、チーズ&ベーコン、てりやきチキン...

 今年出たのが、カルビ、チャーシュー

 デザート系を挙げると、カスタード、ココア、チョコ、プリンまん、焼き芋、ワイン

 といった具合である。太字は特に良かったアイテム)

 未確認情報だが、すきやき、酢豚ロール、高菜、麻婆茄子、なんてのがあり(過去形?)、デザート系でも、くるみカスタード、3色まん、ミルク紅茶まん、りんごカスタード、というのが出ている(出ていた)らしい。

 1シーズンだけで姿を消してしまったものも多いので、コンビニで扱う他の商品群(弁当、おにぎり、サンドイッチの類)同様、実験的に出しては消し、又新たに商品開発し、というのを繰り返しているのだろう。季節モノ故、定番商品に育て上げるのは余計に難しい、ということか。

 ちなみに、今回のネタ集めのために、いろいろ検索していたら、「これがアツイ! ~中華まんコンビニ編」という、その道を究めたご立派なサイトに出くわした。前述したものも含め、中華まんの系列と見本が一望できてありがたい。お目当ての中華まんを探すのに、これで路頭に迷わなくて済みそうだ。(中には本当に存在するのか信じ難い中華まんもあるが...)

 *特撰○○系・本格○○系、それと定番4種は除いて、50音順に編集。

  • 井村屋系(ファミリーマート、ampmなど):いちごミルクまん、カフェオレまん、すき焼きまん、タイ風カリーまん、チーズまん、チョコまん、照焼きチキンまん、肉じゃがまん、ピザ肉まん、ぷりんまん、ブルーベリーケーキまん、マカロニグラタンまん、マロンクリーム、焼きいもまん、焼きとうもろこしまん
    →とにかくバリエーションが豊か!
  • サンクス:かにまん、黒豚まん、ごまあんまん、ビターチョコまん、ワインまん
    →もっとラインアップがあったような気がしたが。
  • ローソン:イタリアンミート、カプチーノ、チョコバナナ、麻婆春雨
  • 中村屋系(セブンイレブン、スリーエフなど):さくらまん、チーズ&ベーコンまん

 要はそれなりの具が入っていて、それが温かクリーム状のものとマッチすれば中華まんになるようだ。それならこんなのはどうだろう? 製法上の制約は抜きにして、ちょっと考えてみた。(中華ネタだと中華街あたりに行くと実在しそうだが...)

 アスパラクリーム、あんかけキノコ、ささみクリーム、スクランブルエッグ、タラモ、納豆、回鍋肉、湯婆...

 デザート系なら、あずきクリーム、ジャム、抹茶クリーム、メイプルシロップ+ホイップクリーム など... いかがでしょう?(^^)

 今回は中華まんのバリエーション考察みたいになってしまったが、バリエーションを調べると面白そうなネタは他にもある。おにぎり、寿司、菓子パンは言わずもがな、クレープ、大判焼、ハンバーガー、それにスパゲッティ、ピザ、カレーライスなどなど、スナック系・お手軽食を探っていくといろいろ出てきそうである。気が向いたら逐次とりあげていこうと思う。

 前に書いたのが第20話だったから、随分と経ってしまったような感じだが、何と言うことはない、2年前の話である(50話分も隔てるとつい昔のように感じてしまう)。筆者はその後も結局、散髪と言えばその店を利用しているので、ここ2年間、ヘアスタイルは同じようなパターンが続き、何の工夫も新味もなく、漫然としたものである。理髪店を選ぶ手間や煩わしさがないというのがこんなにありがたいとは... 無精者ゆえ、こんなことで嬉々としている。特に高田馬場にその店を見つけてからは、同じ店でも8・9割は高田馬場である(新橋界隈は1・2割。かなりの勢いでチェーン展開しているから、近所にできたらそっちになるかも知れないが)。思い立った時にフラっと行ける、そんな距離感がいいのである。

QB_HOUSE.jpg 夏真っ盛りで、さすがに暑苦しくなったものの、なかなか行けなかった高田馬場店。仕事を早く切り上げて向かったりもしたが、店の看板に表示される混雑状況信号機(青なら待機なし、黄なら待ち時間少々、赤なら結構待ちそう)が赤だったので、断念(実際、すごく混んでいたのだ)したりで、とうとう先の夏休み期間まで行くことができなかったのである。それだけ流行っている訳だ。

 お盆明けの17日、さすがに都内の人口が減っているとあってか、入店して早々、席に着くことができた。ここ2年間で大した変化はないが、この日は、従業員相互で夏休みを交代でとっているということで、(1)はじめから終わりまで一人の店員だったこと、(2)客が少なくヒマだったせいか、その店員(女性)がよくしゃべった、の2つが第20話と違った点だろうか。第20話では、店員と会話する必要のなさをこの店の一つの良さとして紹介したが、この日みたいにいろいろ根掘り葉掘りやられると、ちと考えてしまう。幸い、夏休みはいつまでだ、とか、どっか行ったかだとか、会話については無難な範囲で済んだが、心配していたアクシデントが... ちょうど頭のてっぺんあたりをバサバサ鋏を入れながら、当店の従業員の夏休みは...なんて話をしていた時である。いきなり話が途切れ、その店員、スーっと店の奥に引っ込んでしまった。話が高じるとやはり集中力が鈍るのだろう。どうやら指先をやってしまったようである(黙って鋏を扱ってもらっていた方が客としては安心である)。待つこと約2分間。

(店員)「いやぁ、ザックリやっちゃいまして...」 (客)「...(呆然)(*_*)」「声もなく行ってしまって...大丈夫ですかぁ」 (店員)「よくやるもんで馴れてますから」 (客)「...(二の句が出ない)」てな具合である。2分間も手当てしてたんだから、結構、深手だったようだ。左手中指の先は絆創膏ではなく、包帯である。しかし負傷しても相変わらずよく話をなさる。(店員)「今日はこのあとどちらへ」 (客)「千駄ヶ谷のプールにでも行こうかと」 (店員)「髪を切った後ならいいですね」 (客)「ハァ...」。

 その後は、相変わらずの電動カミソリ&掃除機ノズル&お手軽ドライヤーだったので、話らしい話はなく淡々と進み、途中退場の時間を差し引けば、お約束どおりの10分間で終わった。お見事である。今回の12分間、会話あり、アクシデントありでなかなかスリリング?!だったが、プールに行くというのを聞き知ったからか、やはり指先の負傷で手さばきが鈍ったからか、少々仕上げが雑な感じになってしまったのがマイナスポイントか。ニュービジネス大賞の受賞に続き、最近、グループ全店の利用者が創業以来300万人を突破するまでになり、お店自体はとにかく絶好調である。300万人達成を記念して、(知る人ぞ知る?!)「魚や一丁」の生ビール券を3枚いただいた(何で魚や一丁なんだろ?)。今回はこれでよしとすべきか。いろいろな意味で、プラスマイナスゼロの散髪12分間である。

 ちなみに、散髪後の筆者は身軽になったにもかかわらず、プールで泳ぐこと自体、実に久しい話だったので、その日は150m泳ぐのが精一杯だった。お恥ずかしい限り。(この話を書くまでの間、今年2回目のチャレンジではその倍の300m泳げたが、腕・肩が...)(^^;)

 どこからともなく評判を聞きつけて、常に行列ができる店というのがある。昔からの常連にとってはあまりありがたくないところと思うが、常連は常連なりに、行列客を尻目に昔からの流儀やその店ならではのルールを誇る楽しみがあるから、大概は良しとしているようだ。常連さんはそれぞれ思うところがあったり、習慣上通い詰めることもあるから、あまり疑問に思わないのかも知れないが、そうした評判を自ら確かめるべく、いわゆる「行列のできる名店」に足を運ぶと「なぜここが...」と絶句してしまうような事態に遭遇することがある。決して評判・名声にあぐらをかいている訳ではなさそうなのだが、行列をさばくのに手いっぱいで、客一人一人への基本的サービスが行き届かない、そんな印象を受けることが多いのである。

000708.jpg 東池袋駅とサンシャインビルに挟まれた界隈は迷路のようになっていて、その行列店には易々とたどり着けないようになっている。迷路を進むとやがて五叉路が現われ、その一角に目を転じてみる。そこにあるのは、ぐっと時代を感じさせる一軒のラーメン店である。周りの家屋ともども時代を感じさせる風情があってそれだけでもなかなか良いのだが...。行列ができるので有名で、30分待ちはざらと聞いていた。ある夏の日、それは台風一過の日曜日だった。早起きできたこともあって、ここのラーメンでお昼をとることにした筆者は11時30分頃からこの行列に加わっていた。台風が去ったとは言え、空模様が不安定なので雨傘を持っていたのが幸いして、急激な晴れ間・陽射しを避けることができ、余裕を以っての行列待機である。さて、ここからが本論である。手っ取り早くお伝えするため、箇条書きで記すことにする。

《いただけない点》

  • 妻と2人だったので、ラーメンともりそば(つけ麺)を一つずつ注文した。予め注文をとるあたりはさすが、と最初は感心したのだが、実はこれが全然機能していなかった。というより、別々のものを頼んだのが禍となってしまったのである。
  • 店に入ってから気付いたのだが、もりそばとラーメンで完全分離ローテーションを組んでいて、あるロットで固めて、もりそば5つ、その次にラーメン6つ、なんていう出し方なのである。つまり、一度外す(次のローテーション待ち)となかなか出てこないことになる。これはちょうど、複数の系統が通るバス停で、特定の行先のバスをひと度逃すと次がなかなか来ないのと同じ状態、という訳である。
  • 行列時に注文を聞いてくれたオジサンは良かったが、出入口の門番みたいなオッサンが不可なかった。人の注文をちゃんと確認しないからこうなるのだ。筆者らの注文がローテーションに組み込まれなかったためか、なぜか後続4人組の「もりそば×4」に先行され、その後のラーメンローテーションも後回し扱い。次のもりそば&次のラーメンでやっと出てきたのだ。
  • 狭い店内でただでさえ暑い上、途中、席替えを強要され、イライラが募る中、結局店内に入ってから、20分以上待たされた。列に並び始めてからだとすでに1時間以上。客の時間を何だと思っているんだろう!
  • 門番のオッサンの愛想が良くないことと言ったらこの上ない。詫びの一つもないんだから呆れたものだ。(会計のオバサンも無愛想だったなぁ...)
  • 肝心の麺はと言うと、一口・二口目はそれなりのインパクトがあったが、量が多い(何と250g)だけに、残念ながら麺の程良さが持続しない。つまり汁が浸み込み過ぎて、口の中でもたつく感じになってしまうのである。3分の1を食したあたりで正直うんざりだった。
  • 量が多いので、みな食べ残して、会計の前の残滓入れはすぐいっぱいになっている。(ここは食べ残しの後片付けはセルフなのである。衛生上問題ないのだろうか...)

 という訳で、麺自体も大した評価には到らず、筆者ランキングでは、20位以下(いや30位以下か)、とにかく圏外である。

《まぁ評価できる点》

  • 常連客のマナーが悪くないので、ひとまず安心して並んでいられる。
  • 帰り際のセルフ後片付けは、皆、文句もなく黙々と済まして行くから、何となく清々しい。(食べ残しはいただけないのだが...)
  • とにかく安価で量が多いから、それで満たされる人には打ってつけである。

 たとえ、安い・旨い・多いの三拍子で評価を受けているとしても、これで行列店として評価されていいのだろうか、という疑問は残る。行列の本質をつきつめる(そもそもなぜ行列ができるのか考えてみる)と、1)ローテーションシステムが機能しない場合、予め注文をとってあってもすぐに出て来ないから、客一人あたりの時間が長引く。2)量が多いから、やはり滞在時間が長くなる。3)店内が狭く、入店できる人数がもとから限られている。等々、単に行列を少なくするための工夫がないために、行列ができる、それを「行列=名店」と考えるとしたら早計なのではなかろうか。

 もう一例。等々力駅・上野毛駅から徒歩15分(ゆっくりめ)程度のところ、用賀中町通り沿いに、芸能人も通う店として超有名?!なうなぎ屋がある。筆者がかつて等々力に暮らしていた頃、自転車でその店の前を通ることはあっても、実際に入店しようなんてことはまず考えなかった、そんな店である。第59話で紹介した例の番組で先般「上野毛」編が放映され(相変わらず世田谷びいき...)、その店が上位に入り、いろいろ素性がわかったので、意を決して行ってみることにした(この日は等々力渓谷で恒例「ほたる祭り」もあったので)。番組につられて、即ちミーハー的なところがあるので、威張ったことは言えないのだが、されどそういう客だからこそ、むしろ大事にしてもらいたいものである。

《いただけない点》

  • 「ぐるなび」に載っていたのでEメール予約するも、受付無効との返事。何でもシーズン?!中は常連でも受け付けないのだそうだ。そういう時節は、常連さんは避ける、と聞いていたのだが、着いてみたら案の定、長蛇の列。何か話が違うなぁ。
  • 土用の丑をあえて選んだのが不可なかったのだが、「うな重(イ)」が「ぐるなび」では¥2,500だったのに、この日はJRの帰省シーズン料金よろしく、特別料金の¥3,000、これには参った。
  • 12時前から50分程待って、ようやく通されるも、当方この日は3人だったので、折り良く4人掛けの座敷卓で収まるかと思いきや、相席で5人掛け(2+3)を強要され、しかも筆者のはみ出し席は、座布団のみで背もたれはなし。他の3人組は悠々と4人卓を1卓占めているのに、である。そこは当然4人のところ、3人だから背もたれは余っているのである。一つこっちに回したらどうなんだ!
  • お茶のお代わりを頼んでもちっとも出てこない。のべ5人目でやっと出てきた。他の卓はわりとさっさと出しているのに、である。
  • 肝心のうな重は、と言うと、自慢の国産鰻だからなのか、少々泥臭い感じがした。ここは使っている水が小山酒造同様、地下からの汲み上げだそうだから、水は良さそうなのだが、その水を使って炊いたせっかくのご飯の味が、鰻の臭みで減衰してしまっている印象を受けた。(それが名店の「妙味」なのかも知れないが。)
  • 店員が解説してくれないから、注ぎ足しのタレも、山椒もどれだかわからず、途中で気づいて慌ててかける始末。山椒を早くかけていれば、もうちょっとは玩味できたかも知れない...。

《まぁ評価できる点》

  • 建物の風情、常連客と思しき人達の立ち居振舞い、店員の基本的な接客姿勢、はやはり良かった。
  • 値が張るだけに、うなぎそのものの大きさは圧巻だった。肝の吸い物も感服した。
  • 一服する人が極めて少なくてホッとした。うなぎを食すのに煙は無用である。

 この店の場合は、土用の丑当日・前後日に特に行列店になるそうだから、前例のラーメン店のような行列原因の解析は当たらない。しかし、冒頭に書いたように、行列日になると、その待ち客や注文ラッシュをさばくのに手いっぱいとなり、客一人一人への基本的サービスが行き届かなくなってしまう、というのはやはりいただけない。

 てな訳で今後は、行列のできる理由、行列ができた時の対応ぶりを予め吟味した上で、本当に秀逸な行列店を自ら見出してから行きたいものだと思うのであった。

 まとまった時間がないとなかなか取り組めないもので、先だっての連休で東京モノローグにようやく画像をいくつか入れることができた。全体の3分の1程度だが、絵が入れられる話(つまり外出系・旅行系)には可能な限り組み込んでみた。話の足し?!にしていただければ幸いである。

 さて、筆者はここ15年間、カメラというとコンパクトカメラ専門なので、掲載している画像も、普通にプリントしたものをスキャナで取り込んで、あれこれ編集して載せたものである。デジカメではないので効率は良くないが、手間をかけた方が手作り感が出るし、何より素人が撮った写真はあくまで素人風に載せるべき、と心得ているので、こんな按配である。(画質があまりよろしくないのはご愛嬌ということで。)

 APSでもデジタルでもない、言うなれば"アナログ"のカメラとフィルムである。そしてこれに付き物(アナログの宿命)なのが「同時プリント」。何が同時かと言えば、現像とプリントを組み合わせて処理されるというだけで、正確には「現像+プリントセット」だと思うのだが、ともかくコンパクトカメラの歴史とともに、筆者はこの同時プリントにさんざお世話になり、まめまめしく「預けて、引き取って」を繰り返し繰り返しで、写真の数もアルバムの数も相当なものになっている。

 ちょうど10年前の今頃は、下宿の近所の本屋やクリーニング店を専ら使っていたが、当時、現像料500円に加え、1枚10円が相場だったので、フィルム1本あたり、(500+38(ぎりぎりまで撮っているので)×10)×1.03(消費税)で、だいたいいつも906円とかを払っていた。その後、同時プリント業界が大競争時代になり、1枚あたりの単価が9円→8円→7円→5円→3円→1円と漸減を続けた結果、とうとう行き着くところまで来た。0円の時代になってしまったのである。

 ところが、店の看板で「0円」を強調する一方で、現像料の表示がなかったり、0円は「ゆっくり版」の時だけで、「ゆっくり」の指定をしないと自動的に1枚10円の「翌日版」になっていたり、なんて欺瞞めいた事態もよく目にするようになった。筆者はとにかく騙されまいと、まず「現像料はいくら」で、「0円の条件はどう」で、と尋問の如く聞き出してから出すようにしているので、あぁ損した!と思うことは極めて少なくなっている。

 現住所の近所の薬局では、現像料600円(税別)で、36枚撮りでも27枚撮りでも均一な上、お店のスタンプカード(100円で1スタンプ、100スタンプで500円還元)があり、さらに、プリント業者で出しているサービス券もあったりで、なかなかである。10年前に1,000円前後だったのが、今は630円。安いものである。(3割以上のダウンだから大きい。ちなみに36枚撮りフィルムの筆者調達価格は、1本あたり150~250円。これは10年前とさして変化はないように思われる。)

 と思って、つい油断していたら、駅の反対側の別の薬局で、今度はなんと現像料380円(税別)、なんてのが現われた。ビックリである。このシステムがなかなか良くて、受付がセルフサービスになっていて、①名前・電話番号・フィルムの種別・仕上がり(光沢・絹目)の4項目を記入、②フィルムを袋に入れる、③「お客様控え」の表紙を剥がす、④専用ポストに投函、という簡便なもの。店側の受付作業の負担が減る分、コストを抑えられるのだろう。これは実にありがたい。正直なところ、慣れない手つきでフィルムを見回しながら、どこのフィルムで何枚撮りで、なんて店員が迷いながら記入しつつ、こっちの名前・連絡先を口伝えで書いてもらう、というのはもどかしいし、面映ゆかった。同時プリントに持っていく際、これまではちょっとしたためらいが生じていたのである。(630円の薬局もこの方式。)

 380円ので出してみて、先日受け取りに行ったら、女性店員だったこともあって、これまた丁寧で驚いた。これまで中味を確認させてもらう、ということはまずできなかったが、ここは受付がセルフのため、他客の分と混同する可能性もあるからか、ちゃんと調べる機会が保証されているのである。二重にありがたい話である。

 さて、せっかくいい店・サービスを見つけたと思ったら、今度は当のコンパクトカメラの方がイカレてしまった。アナログからデジタルに切り替えれば、同時プリントともおさらばなのだが、アルバムで閲覧できる楽しみ、検索性の高さを考えると、やはりプリントしてもらって、蓄えた方が良さそうな気がする。使う資源の量(フィルムそのもの、現像やプリントに要する資材、受付店と業者のやりとりにかかる物流負荷等)やコストを総合的に比較すると、電子化した方がいいのかも知れないが、デジカメ画像をCD-Rにダビングして保存していくのも面倒だし...

 チケットショップ凝り性の筆者が最近専らひいきにしている券がある。新幹線回数券、各種私鉄の株主優待乗車券(全線有効)、図書券、クオカード、オレンジカード、SFメトロカード等々は必要に応じて調達しているのだが、何かと外食することが多い(あまり好ましくないのだが)生活上、この券にはお世話にならざるを得ないのである。

jfcard.jpg 「全国共通お食事券」と言うとさも強力そうだが、実際は加盟店での使用に限られる。どこが加盟店か、またどの加盟店ならよく使うかをまず心得ておく必要があるため、目的が明確な図書券やオレンジカードと比べると使い勝手が劣るが、その店に出くわすタイミングと、そこが加盟店であることの記憶(または瞬時に判別できる標示等)が伴えば、これは必携アイテムである。タイミングと記憶と、相応の負荷がかかる分、値引率(お得感)が増す、という金券の法則がよく理解できる代物、てな訳である。筆者の知るところで、500円の図書券は安くて480円、1,000円のオレンジカードに至っては、相場は990円。これに比して、このお食事券は、500円あたり、470円(筆者調べ最低ライン)と破格である。(もっとも、特定デパートの商品券(お取り替え券)や同類で「洋服のA」商品券などは、その特定性から値引率は高く、又、ちょっと変わったところで、おこめ券、おもちゃ券、宅急便の回数券なども、利用が少ない割に出回る数が多い(ダブついている?)ためか、値引き幅は大きくなっているようだ。)

 さて、470円ということは、500円の食事をすると、30円おトクになる計算なので、例えば吉野家で牛丼大盛りを頼んで、これで払うと30円分自動的にトクすることになる。ケンタッキー...でクーポン券を使ってセットものを注文した時、これを使うと二重にお得感が味わえる、といった具合である。難点を挙げるとするなら、その正式名称だろう。全国共通お食事券は即ち「全国共通汚職事件」である。勘違い?!される可能性は否めないので別名がある。「ジェフグルメカード」である。ちゃっかりホームページも用意してあって、これを見ればどの店が加盟店かすぐわかるようになっている。(リストをプリントアウトして、常時持っていればこわいものなし!) チェーン店を中心に加盟しているので、店数は驚く勿れ約15,000、ということだ。結構使えるのではないだろうか。

 筆者的に使えそうな店、又はよく見かける店を50音順にピックアップしてみよう。皆さんの中で利用頻度が高い店があるなら、このジェフカードを使われることをおススメしたい。貨幣と同様の扱いなので、クーポン券や割引券と併用できる点が強みである。特に夜型の利用では、加盟店が「ぐるなび」クーポンも扱っている場合、ジェフカードと組み合わせればかなりの効き目が顕われると思う。(要注意点は、500円以内の会計時にお釣りが出ないことがまれにあること、不慣れな店員に当たると会計時に時間がかかること、の2点だろうか。)

※加盟店を奨励する訳ではないですが、せっかくなので実名で掲載します。(ジャンルは省略)

《あ~か行》 藍屋、安具楽、アサヒビール園、アマートアマート、安楽亭、石焼ビビンパ(食券前払い式なので、どうやって使うか疑問?)、イタリアン・トマト(イタトマ専用の飲食券の方が値引率大)、ウェンディーズ、CASA、GUSTO、がんこ寿司、かに道楽、カレーショップPOT&POT、杵屋、銀座ライオン、くいもの市場TAPA、グルメドール、KFC、神戸屋レストラン、ココス、小僧寿司(sushi花館)

《さ~た行》 サーティワンアイスクリーム(どうせなら31日に行きましょう)、さぼてん、シズラー、小吃坊、ジョナサン、ジョリーパスタ、ジョン万次郎、スエヒロ、すかいらーく、ステーキのあさくま、膳丸、素材屋、高山らーめん、地中海、ちりめん亭、デニーズ、天狗

《な~は行》 なか卯、中村屋本店、南国酒家、バーガーキング、バーミヤン、藩、ビクトリア・ステーション、日比谷松本楼、ピザハット(デリバリーでも使えるかは不明)、フォルクス、ふくちゃん、不二家レストラン、鮒忠、北海道

《ま~ら行》 万世本店、ミルキーウェイ、明治サンテオレ、モスバーガー、夢庵、吉野家、リンガーハット、レッドロブスター、ロイヤルホスト、和食さと

※この他、西武百貨店、東急百貨店、パルコ、マイシティ(新宿)、メトロポリタンプラザ(池袋)、ランドマークプラザ(横浜)などに入っているレストラン街では、各店舗本店の加盟状況によらず、全店共通で使える。何とも心強い。

 日本人の飽食・食べ残しがいよいよ指弾されつつある折り、外食産業も頭が痛いところだと思う。ジェフカードは外食振興の一つの切り札だが、同時に有力な広報媒体にもなる筈。外食を奨める一方で、食べ残しをしない旨、協力をよびかけることもできるのではないだろうか。一方、利用する側としても、ジェフカードで安く食べられるからと言って、甘える(食べ散らかす)ことなく、あくまで適量(自身の胃腸の持続可能範囲)を注文し、食べ残しはしないよう努めたいものである。「環境負荷と家計負荷、それぞれの軽減」をぜひ両立していきたいところだ。

 カメラの量販店(今は家電や情報機器が主流だが)がしのぎを削る中で、登場したのが「ポイントカード」。買い物額に応じて、その何%かをポイントとして貯えて、次の買い物時に、その%分の金額を差し引き還元する、というのがその基本的な仕組みである。ヨドバシカメラが元祖で、その後、程なくビックカメラが、そしてしばらく静観していたが、さすがに放っておけなくなってか、随分経ってからさくらやが追随した、と記憶している。何かとこの手の量販店にお世話になることが多かった筆者は、ヨドバシ、ビックともにポイントカードが登場して比較的早くに作ったので、これまで(かれこれ10年近くになる!)に相当額のディスカウントを受けていると思うが、逆を言うとポイントカードに釣られていろいろ買ってしまったなぁ、という反省もある。上手く乗せられた訳である。

 当初、ヨドバシは税込価格で10%、ビックは税別で10%、という設定だったため、ほぼ同じ価格のものを買う場合は間違いなくヨドバシ、というのがしばらく続いていた。しかし、ビックが創業20周年時にポイント率を13%にアップする一方、機を同じくしてヨドバシが税込を止め、税別になってしまってからはすっかり形勢が逆転し、加えて店舗展開の利便性(ヨドバシは渋谷・池袋にない!)もあって最近は専らビックカメラである。ポイントは双方10%で同じなのだが、一度離れるとなかなか戻らない、という客の論理を実践している筆者である。

 さて、この両店のポイントカード、クレジットカードやキャッシュカードと同じ形状、かつ厚さだが、磁気のバーがなく、バーコードでデータの読み書きをするという、今だとやや旧式なスタイルである。レジでは必ず、「ポイントカードお持ちですか?」に始まり、「お貯めしてよろしいですか?」と来る。最初にカードを出しておかないといけない面倒さもさることながら、バーコードでいちいちピピッとやるのがどうにもかったるい。何よりこのやりとりに時間を食うのが難点である。「いえ、使います」と申告することが多い筆者だが、時々店員が間違えて「貯める」にされてしまう。漫然と貯める人が多いから、店員も機械的に処理してしまうのだろう。それを正そうものならさらに時間がかかるので厄介この上ない。ポイントがどれだけ貯まったか、どれだけ使ったかを知る術は、レジ処理後にタラタラ出てくるレシートでしか確認できないのも便利が良くない。(ビックなどは、領収証を兼ねて、ということでやたら大判のレシートが出てくるが、正直なところ用紙のムダ、という気がする。) 1年間使わないとポイントが失効してしまうのも小癪である。出た当初は画期的でも、さすがに10年も経つと陳腐化は免れず、ポイントとともにこうした不満もたまってくる。

mac-pointcard.jpg そんなポイントカードに新しい方式が現われた。ファストフード最大手のMが出してきたポイントカードである。100円ごとに1ポイントのカウント(端数50円以上は1ポイントプラスなので、例えばモーニングメニュー378円の場合、4ポイント)で、15・35・65・100の4段階の通過ポイントでそれぞれ相応の特典が付くという設定である。支払額の何%かを次の機会に還元するのではなく、額をポイントで置き換えて、単純に積算していくだけなので、明朗である。(航空会社のマイレージプログラムと同じ?) この方式の秀逸な点は、

 1)プリペイドカードのような形状で、薄くコンパクト。

 2)カードそのものをレジに組み込まれた装置で読み書きするので、それなりにスピーディー。

 そして特筆すべきは、

 3)ポイントカードそのものに表示枠があり、いつ時点で、何ポイント積まれているかがすぐにわかること、

 である。この表示方法、おそらく特許モノだと思うが、銀のコーティングに、白文字で消したり書いたりができるというもので、最初に手渡された時は仰天した。いったいどういう技術なんだか調べてみようと思っていたのだが... 何とあっさり、Mポイントカードは3月末日でおしまいになってしまったのである。実験的・限定的な取り組みとも思っていたが、ポイントカード導入店拡大中、などとPRしていた時期もあったから、やむない理由によるのだろう。おそらく利用者へのメットがM側がもくろむメリットより大きかった(ポイントが貯まるほど店は損になる?)ことが一因と思われる。入会日:99年3月20日、利用日の最後は、ほぼ1年後の今年3月21日、で止まっている。環境保護の観点からMはどうか、という向きはあるが、燃える・燃えない・飲み残し別のゴミ分別や、ムダ(作り捨て)を極小化した商品管理、タイムリーな商品提供は、他店より明らかに秀でていると思う。そんな自己弁護でMを利用する(ハンバーガーではなく、専らフィレオフィッシュだったが)ことが多かった筆者のポイントカードは、1年間で100ポイントを2周して、さらに70ポイントを超えるところまで来ていた。端数を切り捨てても、27,000円分も飲み食いしていたことになる。ポイントカードの魔力、と言えようか。

 Mポイントカードを使えなくなった筆者は、ファストフードにいよいよ足が向かなくなってきた。実は同業のFキッチンでも同じようなカードを発行しているが、会費がかかるのと、それほど利用することがないので作っていない。(ファミリーレストランのJでも同様の無料のポイントカードがあるが、やはりハードルが高くなっている。) ベーカリーショップで、略称VDFというのがあるが、赤羽にあるこの店をたまたま利用したら、同じような趣向でポイントカードを始めていた。赤羽駅南口改札前にも近々新たにオープンするので、ひとまず発行してもらったが、こっちは本当に実験的試みらしく、使える店がほとんどない状態。(端数がきちんと累積される点、優れているが、半年使わないと失効してしまうのがマイナスポイント。)

 ポイントカードは、確実に進化・発展しているようだが、くれぐれも使い過ぎないよう、適度なつきあい方を心がけたいところだ。何より作る際には、利便性は勿論、本当に使うかどうかを考えるようにしたいものだと思う。ポイントが貯まった時にもらえる景品やサービスについても要否が問われる。ついつい乗せられることがないよう心したい。VDFの場合、プレートやカップがもらえることになっているが、要らないものをせっせと引き換えるのも何なので、程々にしたいと考えている。

 一定のエリア内や同じ鉄道を何度も乗り降りできる一日乗車券ほど重宝なものはない。各地を旅行する時も予め調べておくなり、まずは観光案内所などで物色したりで余念がない筆者は、当然都内をあちこち移動する時もよくお世話になっている。もちろん一日乗車券の価格以上に運賃を要すること、乗車券が有効な交通機関で目的地をカバーできることなどを確認することが欠かせないが、特に仕事で使う時は、予め同じ日に廻れるようにスケジュールを組むなどして工夫するようにしている。(ささやかながら環境負荷低減にもなることだし...)

 今年に入って早々、仕事で三田と水道橋と志村三丁目(全て都営三田線)に出かける必要が生じたので、同じ日に行けるように設定し、まさにこのためにあるような都営地下鉄・都バスの一日乗車券を買い求めることにした。環境庁や日本環境協会本部に出かける時は、自転車を走らせることも多いのだが、さすがにこうしたパターンではそうはいかないので、この日はいつもの自転車通勤をお休みし、朝から都バスに乗ってちょっとぜいたくな出勤である。渋谷駅東口バスターミナルにある東京都交通局の窓口で一日乗車券を買い、まずはお茶の水方面へ向うバスで「青山学院前」まで。ゆっくりめの徒歩で10分かかる行程をほんの3分程度で走ってしまい、頗る快適である。(仮に銀座線が渋谷と表参道の間に駅を設けてもらえるならもっと快適かも知れない。青学はもとより、国連大学もあることだから、一考の価値は十分あると思っている。)

 これでまず、200円分。この日の外出の経路は、渋谷駅東口~(田87)~田町駅、三田~(三田線)~水道橋、ここまでですでに合計610円。次は本来なら水道橋~志村三丁目と三田線で直行すればいいのだが、そうはいかないのが筆者流である。その週末に少人数でネイチャーゲームを行うことになっていたので、下見がてらその会場がある茗荷谷を経由することにして、文京区役所の手前のバス停まで行き、壱岐坂下~(都02乙)~茗荷谷駅。そして、会場の窪町東公園の端まで歩いて、その近くの湯立坂下~(上60)~大塚駅まで。一日乗車券は都電荒川線にも使えるので、大塚駅前~新庚申塚と乗り、乗り継ぎ駅の西巣鴨から再び三田線に乗って、やっとこさ志村三丁目、という経路。乗り放題三昧でありがたい限りである。(もちろんこの寄り道は、水道橋の用件を終えた時点で、志村三丁目へ行くまで時間的余裕があったためのことである。念のため。) 志村三丁目からの帰りは新板橋まで戻り、これでこの日の合計は1,590円。一日乗車券代700円の倍以上、元を取ることができた。(こうした感覚は主婦並み?と自負する筆者である。)

clean-kippu.jpg そしてつい最近、今度は荒川クリーンエイド99年次報告集の打合せのため、都営新宿線 船堀方面(東小松川)に出かける用事があったので、再び一日乗車券のお世話になることにしたのだが、ちょうど水曜日だったため、ありがたいことに「水曜クリーンキップ」の恩恵を受けることができた。(本稿はそのPRのようなものである。) 同じく渋谷駅東口の東京都交通局で、700円出して一日乗車券を買い求めようとしたら、親切なことに「今日使われるならこちらをどうぞ」と差し出されたこの「水曜クリーンキップ(環境切符)」。「水曜日は電車・バスを利用し、大気汚染防止にご協力を!」と表書きしてあって600円。おまけに東京都の庭園美術館と写真美術館の入館割引付きになっているので、感心した。何となく存在は知っていたが、使える機会が巡ってくるのはそうないことなので、感慨もひとしおである。

 この日は、渋谷駅東口~(渋88乙)~青山学院前、でまず使い、青山学院前~(茶81)~九段下~(新宿線)~船堀~(新小21)~東小松川小学校、でクリーンエイドの事務所に向い、そして帰途に船堀~新板橋、という経路をとって、合計1,170円。いやはや本当に重宝である。(東小松川小~船堀の帰途でバスを使わなかったのは、打合せが22時30分までかかり、バス便がなくなってしまい、車で送ってもらったためである。せっかくのクリーンキップの主旨(「水曜日は乗らないDAY」)を損ねてしまったようで心苦しい?!)

 茶81のバス車内で、ご婦人方がこう話していた。「地下鉄は(階段を)上ったり下りたりで大変。バスはその昇り降りがない分、楽ねぇ...」 表参道の手前から乗ってこられて、半蔵門のちょっと先で降りていかれた。半蔵門線を使えばすぐなのだが、昇り降りの時間を含めるとどうも大差ないようである。それなら楽な方がいいのは言うまでもない。バスが頻発して、かつ割安な一日乗車券があれば、特に年配の方にとっては便利で楽なことこの上ないように思う。(都電が縦横に走っていた頃は、さぞ快適だったろう。) 筆者としても、水曜クリーンキップの趣意は大賛成である。こうした工夫で余計な乗用車やタクシーが減れば、大気汚染はもとより、騒音や温暖化の抑止にもなる。地下鉄も大事だが、バスをもっと便利に使えるようにし、クリーンキップや環境定期券をもっと奨励してほしいものだと思う。

 物を大事に長く使おうとする心がけはあるつもりなのだが、よく物を駄目にしてしまう。扱いが粗雑なせいもあるのかも知れないが、何と言うか不運が多いのである。ここ数カ月を振り返るだけでも、i)高校時代から気に入って使っていた青い傘を自宅玄関の通路手すりにかけていたら、強風で飛ばされて骨が折れてしまった。ii)日比谷公園のバザーで破格値で買ったナップザック(買い物袋の代わりによく使っていた)がアースデイの書類等を詰め込んでいたら、ヒモが切れてしまって、ただの袋になってしまった。iii)通勤用に使っていたカバンの肩かけ用のバックルが壊れてしまい、単なる手提げカバンになってしまった。iv)履きなれていたスラックスの膝の部分に穴があいてしまった。(衣料品はこの他にも事故が多発している)などなど。恥ずかしながら、これらi)~iv)については、その後ろくろく手入れもせず、中途半端な状態で家の中で転がっている。

 さて、第43話で書いた自転車通勤だが、出足こそ順調だったものの、6年乗り回していたおかげで、実は後輪が摩耗していて、徐々にタイヤのハリがなくなり、とうとう空気が抜けてしまい...というのが、5月下旬のこと。新宿界隈の自転車屋巡りをしたが報われず、結局、東急ハンズに持ち込み、パンクの応急手当をしてもらい、事無きを得るも、パンクを引きずって結構うろうろしていた後だったので、いよいよ摩耗がひどくなっていて、「これじゃまたすぐパンクしますよ」と忠告を受けていた。前述したように、物を駄目にしてしまう筆者だが、この自転車はメンテ&維持すべしと念じ、そんな訳で、いい自転車屋を見つけて、早めにタイヤ(ゴムの部分)を交換したいものだと、ちゃんと考えていたのであった。しかし、6月は思いの外あわただしく、とうとう自転車屋に行けなかった。ハンズの応急手当でごまかしごまかし自転車に乗っていたが、やはりまた空気が抜けてきたのが、7月半ば。職場の近所のちょっとオシャレな自転車屋さんは、やはり「青山価格」で高く、タイヤとチューブと工賃でしめて約7,000円なんて言うもんだから、いよいよ困ってしまい、意を決して、自転車を扱ってそうな西友をめざすことにした。なぜ西友かと言うと、筆者が学生時代お世話になった下高井戸の西友では、パンクの修理が300円+消費税だけ、という破格、加えてその店のおじさんがやたら親切だったことを記憶していたからである。(顧客満足の好例と言えるだろうか。) 10年前の当時、他の自転車屋では、800円~1,000円かかっていたから、その破格ぶりは擢んでていた。10年経った上、しかもパンク修理ならぬタイヤの交換ともなると、やはり値が張るとは思ったが、その西友下高井戸店の対応があった故、ともかく西友をめざそうと決めた次第である。

 職場をほぼ定時に出て、事前に調べておいた西友(中野、高円寺...)をめざすことにした。さすがに下高井戸となると、新宿から30分はかかってしまうし、ここではずすと他に心当たりがないので、店舗が複数ある中央線沿線に決めた訳である。どこまで空気が持つかの根競べの中で、ともかく代々木を抜け、山手通り沿いに、初台~中野坂上~東中野と北上する。が、自転車が万全でないので、どうも時間がかかる。職場を出て、約40分。東中野駅をまたぐ陸橋からは中野駅が見え、「よし、もう少し」のはずだった。しかし、素直に早稲田通りに出ればいいものをなかなか行き着かず、上高田界隈に迷い込んでしまい、さらに、何とか中野通りと早稲田通りの交差点までたどりついたと思ったら、西友があったと思しき場所は、何と最近躍進中の大御所100円ショップ(3階建て)に変わってしまっていたからビックリやらガックリやら。辺りも何となく暗くなり始め、心細くなってきたが、気を取り直して、「よし次は高円寺だ。」

 警察大学を超え、環七通りを横断し、駅南側の商店街に入る。商店街をちょっと外れたところに、西友を発見。しかし、2階から上は住居アパート(店舗はB1Fと1Fのみ)という小規模店である。自転車を数台売ってはいても、修理を受け付ける空間はない。「さあ大変だ!」 いよいよ焦ってきて、最後の望みをかけて阿佐ヶ谷をめざす。途中、随所でシックな(昭和40~50年代を彷彿とさせる)民家を見かけ、ほのぼのとするのだが、心理的に余裕がない状況だから、何ともやりきれない。(もっと明るいうちに、ゆっくり走りたいものだとつくづく思った。) 杉並区の中央線沿線を走るなど、学生時代にもなかったことなので、どうも土地勘がつかめず、ちょっと行くとすぐ中央線から離れてしまう。だがどうにかこうにか駅が見え、駅前の西友に着くことができた。大型店なのは、昔から知っていたので、もう安心。ただ自転車売場は5階にあるので、周囲の注目を浴びながら、エレベーターに乗せ、運び込むことになる。店員さんはどこかのんびりしたとこがあって、ちょっと心配だったが、話のわかる人で実に助かった。工賃1,800円はちょっと高いかも知れないが、タイヤ1,580円、チューブ780円と足して、合計約4,400円で済み、ここまで来た甲斐があったと重々思う。後輪のスポークが一本駄目になっていて、安定感が悪いこと。スポークが一本外れると、連鎖的に外れ出して、車輪自体が駄目になってしまうから注意が必要なこと。前輪・後輪とも安定感が悪くなると、いよいよ車輪ごと交換しないといけないので、その場合は買い換えた方が安いこと。チェーンがたるんでいるので、締め直したが、逆に前よりも金属疲労を起こしやすくなるので、やはり注意が必要なこと。などなど、ご教授をいただき、すっかり感服してしまった。6年乗った、とは言っても、もっときちんとメンテナンスしていれば、これほど手を煩わすこともなかっただろう。店員さんは一見穏やかだが、心中を察すると何も言えない。ともかく自転車を知る人ならではの極意と意気に触れる思いであった。

 この日の西友は21時までだったので、二重に助かった。が、実は阿佐ヶ谷まで来ると、距離的には下高井戸と大差ないことに後で気づく。とんだ小旅行になったが、帰りの足は至って軽い。チェーンが軋む音もなくなり、快調快調。丸の内線沿いに青梅街道をひと走り、阿佐ヶ谷を20時45分に出て、新宿には21時10分頃、着いた。往路の難儀が嘘のようである。

 という訳で、自転車は立ち直り、再び快適な通勤をしていたのだが、最近になって、通勤途中で愛用していた、超簡単操作のヘッドホンステレオがイカレテしまった。現在、これまた調子が良くなく、何年かほったらかしだった超複雑操作のヘッドホンステレオを代用しているが、筆者のモノを駄目にする習癖(いや、不運)はまだまだ続きそうである。でも日頃からの手入れとしてのメンテナンス、完全に駄目になる前の修復としてのメンテナンスは、ともに心がけたいものである。

 有線放送に加え、衛星を使ったBGM専用放送まで現れて、専用のチューナーを置く店が増えているのだろうか、どこへ行っても様々な音楽が耳に入るようになっている感のある最近の街中。自分で持ち歩く音楽の他に、行く先々で音楽浸けになる事態は果たして歓迎すべきかせざるべきか。

 一人で黙々と本を読んだり、買い物したり、食事している分には、いくらでも聞き流せるのでさしたる影響はないのだが、複数の人と会話しながら、飲食したりする向きには、どうも雑音になってしまうことが多いようだ。

 「みんながみんなとつながるボランティア・ネット」(ViVa!)のちょっとした打合せ(と言っても雑談目的)で入った西武新宿駅近くの店では、とにかくレゲエの類が延々と鳴り続け、とても話し合いができる状態ではなかった。重低音がやたら大きく、ズシズシと鼓膜を刺激する。いくら近頃の若者がボキャブラリー不足で、大した会話もしないから影響がないだろう、とは言っても、物事には限度がある。(この店を選んだのは、得意?!の「新宿ウォーキングマップ」の優待特典につられてのこと。雑音の代償を兼ねてか、さんざ飲み食いしたのにお一人様600円程度で済んでしまった。この月の優待割引率はなんと50%だったが、翌月チェックしたら、20%程度になっていた。我々の利用に懲りたのか、ともかく変な店である。)

 妻の誕生日祝いで、これまた特典につられて入った池袋の店にもタマげた。上記同様の重低音攻撃で、会話も何もできやしない。たまらず店員に談判したら、素直に応じてもらえ、音が小さくなったのに加え、照明のトーンが落ち、音楽のジャンルも変わってしまったのには驚いた。それならはじめからそうしてくれればいいものを、と思ったが、要は何事も相談してみるものである。

 これらは、音が大きいことによるBGMの弊害。もう一つの弊害は、聴きたくもない曲がかかることによるストレスである。これは一人だろうが複数だろうが関係なく、たまらず逃げたくなるものである。

 第39話でどんぶり屋の紹介をしたが、メジャーでないどんぶり屋に入ると、売れない歌手のB~C級の音楽がかかっていることが多い。たまにはいい曲もあるが、たいていは歌詞も曲も不明、かつ聴くに堪えないものがあり、ゆっくりどんぶり飯を味わっていられなくなってしまうから悩ましい。立ち食いそば屋の類は客層を考えてか演歌が多いが、いくら空腹で、旨そうなセットメニューなどがあってもド演歌がかかってたりすると、つい踵を返してしまう。つまらない理由かも知れないが、なかなか食事にありつけないこともしばしばな筆者である。

 近頃はやりの100円ショップでもマイナーな店ほど、やはりB~C級の音楽がかかることが多く、聴いているとだんだん落ち着かなくなって、買い物途中で店を出てしまうから、BGMも一長一短、考え物である。BGMのせいで客が寄らない・逃げ出す、なんてことになると、これはまずその店の問題ではあるが、仮に有線や衛星経由のものを使っているなら、BGMを提供する側にも問題があるように思う。

 聴きたくない曲が大音響でかかったら、それこそ失神ものである。時間を拘束されない店ならいいが、飲食店、さらには理髪店でこうした目に遭ったら、たまったものでない。

 さて、筆者の職場の近所に、知る人ぞ知る環境系喫茶がある。環境系なので、BGMも当然エコロジカルかつヒーリング系なので、何事もなければ心地よいのだが、一つ困ったことがあった。定例的に店を一部借り切って、天然素材を使った楽器を作るワークショップが開かれる、というものだ。オーナーはナチュラリストな点はいいのだが、どうもワンマンっぽいところがあって、客のことに頭が回らないらしい。こっちが人を集めてちょっとした打ち合わせをしているのにお構いなく、グループで楽器の試演をしてしまうのである。せっかくのBGMも台無しな上、練習レベルで好き勝手に音を出すもんだからちっとも癒しにならない。これまたViVa!の雑談会の時だったので、やむなく途中で引き上げさせてもらった。打合せに使っていけないなら、その旨、書いておいてほしいものだ。客を大事にできなくて、自然や環境に思いやりを示せるのか... 大いに疑問を感じたものである。この件以来、同店には足を向けていない。電気的なBGMの弊害は先に書いた通りだが、これは手作りのBGMであっても、時と場合を弁えないと、ありがたみがなくなってしまう、という事例である。

 今年の横浜・こどもの国の「アースデイ・フェスティバル」もこれと似たような事態を招き、歌と踊り関係の一部のパフォーマー・出演者に迷惑がかかってしまった。環境を考えた音楽なのに、その音量の大きさと他者への配慮が足りなかったことにより、不調和を招く結果となってしまった訳である。客のこと、他人のことを考え、皆がハッピーになれる音楽を程よく提供する・流す必要を感じる次第。公共の場所ならば、なお一層、考えたいことである。

 世間では省エネブームに乗って、待機電力(正確には待機時消費電力と言う)にも随分と目が行くようになった。環境問題への対応や温暖化防止の対策を考える時、エネルギーの消費を抑制するのが効果的なのはもっともな話には違いないし、それ自体は大変歓迎すべきことではあるが、家電製品が環境対応型であることをPRする材料として、待機電力レスあるいは待機電力ゼロを口々に並べ立てるのも能がないように思う。家計に直接的に訴えられるが故に省エネ・省電力性が先行し、家計に直結しない部分、つまり原材料における再生品の使用割合、廃棄時の環境負荷の低さ、焼却処理した場合の無害性、長期使用や修理・修繕の容易性、人体健康面に対する配慮、製品本体以外の梱包材や取扱説明書等の環境負荷、等々の話がおろそかになりがちなのが惜しまれるところだ。買う側・使う側も、消費電力や待機電力の他にこうした観点から商品選びをしてもらいたい、と常々思う。店員をつかまえて、こうした環境談議を交わすようになれば、販売店はもちろん製造事業者も本腰入れて取り組むようになる筈である。筆者も重々心したいと思っている。

 待機電力について、言わせてもらうと、

  • リモコンからの指示待ちやマイコンの記憶保持、時計の作動などに消費され、その量は、一世帯の総電力消費量の10%前後と言われている。
  • 現在、家電製品の工業会で待機電力の測定方法や表示方法について検討がされているが、何より各人が待機電力の存在を意識して、電気代・エネルギーを節約することが肝要。 

 というのが挙げられる。だが、検索サイトで何気なく、待機電力と打って調べてみたら、各社各製品の「ゼロ情報」を見つけてしまった。これは節約行為以前の話。待機電力ゼロにできるのであれば、なぜもっと早く世に出してくれなかったのだろうか、と思うが、これも技術革新と環境世論あってのこと。今後のさらなる進展を期したいものだ。

  • 全自動洗濯機(S社 ES-SE90など):待機電力ゼロ。
  • テレビ
    ステレオテレビ(P社 TH-21MA1):マグネシウム合金採用により、リサイクルの可能率アップ。
    ハイビジョンテレビ(T社 32HD3Zなど):待機電力ゼロ。
    フラット画面テレビ(S社 32C-FB10など):待機電力ゼロ。
    BS内蔵テレビ(H社 W36-GF2など):待機電力ゼロ。
  • ビデオデッキ(S社 VC-ES100B):待機電力ゼロ。
  • 電子オーブンレンジ(T社 ER-FX8、S社 RE-M100など):待機電力ゼロ。

 パソコンについては、オールオフするならともかく、常時挿し込みっぱなしの場合、待機電力は相当量になると聞く。パソコンにはぜひとも標準添付で、コンセントに電力計を装着してもらいたいものである。(加えて、使用中はディスプレイの片隅に消費電力量と換算電気料金が載ると長時間使用防止にもなり、効果テキメンと思われる。)

 話ついでに、電磁波について。見解がグレーなので何とも言えないが、例えば電磁波カットのパソコンであるとか、電磁波防止フィルタがはじめから付いているとか、又、実際に製造・販売するのは難しいだろうが、ガウスメーター付きにする、といった工夫があれば面白いと思う。

 さて、アースデイ2000日本連絡所が同じビルの3階から2階へ引っ越しして、2週間ほどが経った。例年なら4月半ばに開催していた横浜こどもの国での「アースデイ・フェスティバル」だが、今年は1カ月遅れの5月22日・23日の開催になったので、この時期にまだミーティングをしている。広くなった会議スペースの電源コンセントにふと目をやると、何と電力メーターが付いている。電力を調べる家電品がなく、ただ電源コンセントにメーターがくっついているだけなのでちょっと間抜けに見える。会議卓に同じ物がいくつか転がっていたので、これは面白いと思い、一つ拝借してきた。

ecowat-case.jpg 名前は「エコワット」。片手にすっぽり収まってしまうコンパクトサイズである。大阪は摂津市にある「東光精機(株)」(TEL:06-6387-1236/FAX:06-6387-1256)の製造・販売。(売価はどこにも書いていない。オープン価格?) あくまで目安だが、使用料金→使用電力量→使用時間の順で3秒ごとに表示されるようになっており、実によくできている。電気使用料金は、各地域の電力供給会社等により格差があるが、平均値をとって一般的には23円/kWhの計算が用いられる。が、エコワットで換算される電気料金は25円/kWh。高めの表示になるが、その方がインパクトがあっていい。

ecowat.jpg 筆者宅ではできる限り、コンセントを抜く努力をしているが、それでも常時つなぎ放しのものがいくつかある。冷蔵庫、ビデオデッキ(タイマー録画する番組があるとどうにも)、パソコン、一部のAV機器...そして電話+FAX機である。4月29日の0時から試しに早速、電話+FAX機の測定を始めた。その日の朝はまだ大したことなかったが、24時間経ってメーターを見たところ、0.23kWの消費で、5円になっていた。1カ月にして、150円超。電話FAX機というのは、「待機する」=「使用する」みたいなものだから、この使用電力なのか待機電力なのか言明しづらい面があるが、どっちにしてもそれなりにはなることがわかった。(ちなみに筆者宅の1カ月の電気料金は3,000~4,000円の範囲内である。) 4月30日の0時からは品を変えて、ラジオ付きデジタル時計で測定開始。23時間経ったが、こちらは見事にゼロ表示(使用電力・使用料金とも)である。液晶表示(バックライト付き)とラジオの受信というのは、乾電池でも早々には寿命が来ないだけあって、電気を使わない代物であることがこれで証明された。

 という訳で、しばらく測定遊びが続きそうである。次はパソコン一式かそれとも冷蔵庫か、大口製品で試してみれば、それだけエコワットの立つ瀬もあろう。皆さんもおひとついかがでしょうか?

 今の職場に変わるまでは、いわゆる社員食堂をほぼ毎食(朝・昼・晩)利用していたので、一日あたりの食費は1,000円程度で済んでいた(いや済ませていた)。今では、社員食堂が利用できないものだから、朝・昼・晩をどうするかが課題でもあり、楽しみでもある。自宅でとる努力もしているが、ついフラフラと外食してしまうのは克己心の弱さの表れであるには違いないが、それだけ通勤経路上や職場周辺に店が豊富にある証拠でもある。とはいえ、一日1,000円ラインで済んでいたものを急騰させる訳にもいかないので、今では何とか1,500円(三食とも外食にした場合、この構成としては、朝:350円、昼:650円、晩:500円を想定)内におさまるよう奮斗している。そしてこの線で抑えるのに欠かせないのが、どんぶり屋の存在である。朝のセット(定食)はだいたい上記想定内だし、晩にしても料金は均一だから、アルコールを注文するなどしない限り、値は張らない。昼はともかく、朝と晩についてはまず一人で食事することが多いので、その日その時のシチュエーションでいろいろな店に出没することになる。今回は筆者のそんな喫食パターン「どんぶり屋編」(通勤の帰途、つまり晩ご飯をどんぶり屋で食べる場合)を紹介してみようと思う。(あくまでどんぶり屋であって、立ち喰い蕎麦屋やファーストフード店で扱う丼物は除くものとする。)

【表参道~渋谷】

 表参道まで戻って、地下鉄で渋谷に出て帰ることもなくはないが、その場合(表参道に向う途中)は、どんぶり屋はないので、丼物を食べることもない。逆に職場から渋谷まで歩いて帰る場合は、何軒もあるので、どこまで書き出せるかが難しくなる。(今回は特別に店名を明記します。)

 まず、青山学院大学と宮益坂の間に吉野家がある。吉野家は、100円引きセールが何カ月かに数日のタイミングであるので、その期間中に集中的に行くことが多い。という訳で、朝の定食は利用しても、夜、足を運ぶことは少ない。宮益坂を下りてすぐ、右に曲がると「ビビンパ」という韓国系丼屋がある。鉄器を加熱して「石焼き」という名称でビビンパやクッパを出すのが売りだが、猫舌の筆者は、石焼きでない単なる「野菜ビビンパ」を注文することが多い。割引セールに出くわしたことがないので、安心して一定間隔で利用できる店である。(ちなみにこのビビンパは、東急文化会館の2階通路沿いにもあるが、店内がやたら狭いので、専らこっちの宮益坂店を使っている。) 松屋は渋谷駅周辺に何軒もあるが、公園通りの起点に当たる三叉路(丸井やタワーレコードがある界隈)にある松屋を使うことが多い。ここは食券の受付と注文の品を出すのを1つのカウンターで捌くシステムになっているので、利用しやすい。カウンターから席までの持ち運びやお茶もセルフサービスなら、当然後片付けもセルフになっており、好感が持てる。松屋はふだんから利用することが多いが、今やっているような500円(1コイン)セットなどがあるとつい足を運ぶ頻度が増えてしまうので、要注意である。(松屋はここの他に、センター街や井の頭線渋谷駅1階改札口近くの裏通りにもあるが、あまり足が向かない。)

 宮益坂から金王坂を通って、渋谷警察署がある交差点界隈に出ると、明治通り沿いにいろいろなチェーン店が軒を並べ始める。昔からだが、この沿道は時々寄り道するコースである。どんぶり屋に限って渋谷駅寄りから順に挙げると、「めしや丼」「なか卯」「らんぷ亭」といったところ。めしや丼は駅に近いこともあるが、大盛り・おかわり無料キャンペーンなどをやっていた時期があったので、利用する・しないの波は激しいものの有力株ではある。なか卯は割引券を配ることが判明してからは、券がない時期は利用しなくなってしまった。割引・優待・サービス・クーポンの類は一時的には客を得られるが、その反動も大きくなるというのを示す好例と言えようか。という訳で、セットものでも単品でも割り引いてしまうらんぷ亭に至っては、券がないと全く利用しないという有様である。(もっとも、券がない状態でも一度利用すれば、次回からは半永久的に使えるようになる券が入手できるのだが、有効期限内に行けなくなると券の引継ができなくなってしまうのである。哀しい。)

【原宿~代々木】

 渋谷からの帰途は、山手線ではなく、埼京線各停に乗れるように時間調整することが多いので、まずこの2駅で降りることはない。たまに山手線で新宿に向う途中で気が向くと、下車することはある。でもどんぶり系を食べに行った記憶がないので、省略。

【新宿】

 山手線から埼京線に乗り換える時が一つのポイントになる。新宿始発の各停の発車時刻に余裕があると踏んだ時は、ルミネ2側の改札から出て、新南口から乗り込むパターンが多いので、その界隈(甲州街道と三越の間あたり)に点在するどんぶり屋に足を運ぶ。ビックカメラのパソコン館の近所には、「どんどん」てのと「たつや」というややマイナーなチェーン店がある。それぞれ競うように変則的なセールをやるので、通りがかりでそれに出くわせばしめたもの。どんどんでは親子丼かカツ丼が安くなる。たつやでは牛肉を玉子でとじた「開化丼」が安くなることが多いようだ。この2つがダメでも近くに松屋があるので、利用することが多い。

 新宿は歩く範囲を広げれば、いくらでもどんぶり屋に出くわす。靖国通りと歌舞伎町商店街入口が交差するあたりにある吉野家には、他店では見かけない「豚汁定食」があるので、それをめざしてみたり、北新宿方面まで足を伸ばすと「SUKIYA」というちょっと異色などんぶり屋があって、そこで「すきやき丼」を食してみたりする。いずれも早く帰れた時を除き、まず行くことはないけれど、覚えておきたい店である。

【新大久保~板橋】

 一気に飛んでしまうが、新宿で一度埼京線に乗り込んでしまうと、途中下車する機会はぐっと減少する。池袋もチェーン店ひしめく街だが、帰途にどんぶり屋に入った記憶はほとんどない。

【十条】

 帰りの埼京線は、西口改札口にすぐに出られる。西側は天丼の「てんや」の他、渋谷で紹介した「めしや丼」がある。利用しやすいので、赤羽止まりの列車や通勤快速列車にわざと乗って、次の各駅停車が来るまでの時間を見計らって利用することしばしば。(大盛り・おかわりサービスがない時期は控えているので、最近はとんとごぶさたしている。)

【赤羽】

 空腹を持ちこたえられた場合に限るが、地元赤羽はどんぶり屋の宝庫である。利用しない手はない。東側で駅に近い順に挙げると、松屋、王様の丼(比較的新しい店だが、CSが低いのが泣き所)、てんや、松屋...これに加えて西側の高架下に最近「なか卯」がオープンした。いずれも筆者が赤羽に転居してきてからできた店ばかり。ありがたいことである。吉野家がいまだに出店して来ないが、このラインアップはまずまずと言える。

 松屋は偽造500円硬貨対策で、500円玉が使えなくなったり、お茶が熱湯状態で出てくる(どの松屋も共通?)など難点はあるが、朝、余裕があれば、朝ご飯セットを利用するし、先述したようにおトクなセットが出ると目がなくなる。てんやは季節物が出た時や、割引券を入手できた時以外は利用しないので、あまりご縁がない、といった具合。

 このように、栄養バランスは二の次で、価格重視の筆者の丼指向(嗜好)だが、OLがどんぶりを好んで食べるご時世とあっては、トレンドに乗じたい気分もあるので、当分はどんぶり屋通いは続きそうである。どんぶりを食べることを「どんぶる」、食べる人を「どんぶラー」なんて、流行語にでもなるくらい流行れば面白いのだが、仮にどんぶラーと自称する人が実在するなら、自前の箸持参で、流儀よろしく食してもらいたいものである。(筆者はもちろんマイ箸だが、店員の関心も誘わないし、他の客も見て見ぬフリ。)

 高校受験の勉強中に視力が落ち、視力回復のトレーニングなどもいろいろ試みたものの、結局メガネを着用するようになって、10年。その後、メガネに代えて、コンタクトレンズをするようになって、3年と10カ月が経っていた。コンタクトレンズの替え時というのがよくわかっていなかったので、レンズを着けていて痛みを覚えたり、よく見えなくなってきたら、その時買い換えればいい、程度にしか考えていなかったのが正直なところ。その日も特に違和感なくコンタクトレンズを着けて、赤羽に出かけていたのだが...

 赤羽図書館を出て、アーケード通り(地元名:LaLaガーデン)に向って歩を進めていた時である。不確かだが、右手が左目に触れたのだろう。途端、左の視界がぼやけてしまった。場所は、赤羽図書館と赤羽公園に挟まれた小さな交差点を渡り、西友に抜けたあたりである。いつものように単にレンズがずれただけのものとタカを括っていたが、今度ばかりはついに落としてしまった。これまで数々の修羅場(失くしたのは専ら室内だったが)をくぐりぬけて、持ちこたえてきたのだが、とうとう人通りの中、地面を這って捜す、というよくある?!パターンを自らが経験することになってしまい、顔面蒼然+胸中騒然状態である。西友の駐輪場の傍らだったので、自転車の出し入れがある上、歩道の幅が狭く、行き交う人がただでさえ多い、という悪条件。おまけに、日光が射さないロケーションなので、何となく暗いし、寒風がちょっとでも吹こうものなら、身に滲みることこの上なく、とても落ち着いて捜索できる状態ではなかった。駐輪場の整理にあたる警備員風のおじさんや、通りがかりの人などを一時巻き込んで、20~30分費やしたものの、とうとう見つけることはできなかった。落とした即刻に、誰かに踏まれてしまった可能性、強めの寒風に乗って、遠くへ飛ばされてしまった可能性、どれも高いものがあり、ここは一つ、断念するのが筋と言い聞かせて引き揚げることにした。3年10カ月も使ってきた訳だから、ここで失くなったのは思し召しだったんだろう。

 95年の3月頃から、左の視界を支えてきたレンズ。レンズにはその分の記憶が刻まれている。もったないという以前に、共に生きてきた片棒を失ったような、大げさだがそんな思いもちょっとあって、哀愁漂う土曜日の昼下がりであった。

 紛失したその日のうちに、渋谷にあるYコンタクトレンズに向った。はじめてレンズを買ったのが同じ店の東京駅前にある本店だったが、診療券・カルテが共通だったので、すんなり手続きでき、ありがたかった。この時ふと、本店に残っている顧客データ上の住所を更新していなかったことを思い出し、又、本来なら定期点検の知らせに応じて、レンズの具合を診てもらい、替え時に備える、そんなことを思い出したのであった。つまり点検の知らせが来なかったことで、3年10カ月のロングラン使用になってしまった訳である。相棒を失った右目のレンズだが、試しに顕微鏡レベルでチェックしてもらったら、案の定「このレンズで眼球が痛みませんか?」と言われる始末で、許容を超えるキズが付いていたのがわかった。係の人がその特殊スコープを覗きこんでいる時間がやけに長いから察しはついたが、何ともお恥ずかしい限り。左も相当傷んでたんだろうな、とここでまた失ったレンズを思い返す筆者であった。ともあれ、年が変わって間もないことだし、これを機にと、両目とも新調する運びとなった訳である。おかげで視界も気持ちも入れ替わり、打って変わって清々しさ漂う土曜日の夕刻となった。めでたしめでたし。

 今までのは、とにかく丈夫なのがとりえのレンズだったが、今回は酸素透過性と汚れにくさがポイント。丈夫さを過信して、粗雑な扱いをした結果、多量にキズを付けることになってしまったので、その点ひとまず反省し、今度のレンズは丈夫さでは劣るため、なお一層の丁寧な扱いをせねば、と肝に銘じるのであった。その代わり、今後は乾燥感が少なくなるので、実に助かる。ふとした弾みで落ちてしまったのは、眼球表面とレンズの間が潤ってなかったためか。これなら落とす心配もまずなくなるだろう。ただ、レンズ本体が透明なので、万が一落とした時が厄介だ。今までのは薄いブルーだったので、出し入れの時に洗面台に落とすことがあってもすぐに探し当てられたが、今度はちょっと手こずりそう。ともかくはじめから丁寧な扱いを心がけるに超したことあるまい。保存液と酵素洗浄剤も今までのを継続して使えるが、新品ゆえ、まめに手入れしようと思う。

...保存液の話が出たついでに、ひとこと。協和コンタクト発売の保存液に、容器の消毒液が残留しているものがあるとのこと。製造時のトラブルによるもので、この保存液を使用すると、角膜を損傷する等の危険があります。すでに被害も出ており、協和コンタクトでは現在、回収を進めています。ご注意を。販売時期:1998年1月~7月頃、容量:120ml(対象ロット番号:0907・0909・0910・0911・0912・1002)及び180ml×2(対象ロット番号:8079・0179・1179・2179・1089・2089)です。(東京都消費生活総合センター発行「東京くらしねっと」No.21より)

 消費税導入が方向付けられたのが、今から10年前の1988年11月10日。自民党が単独強行採決した日である。怒号の中、翌月12月24日に法案が成立し、1989年4月1日には各地の商店街などが導入反対の横断幕を掲げる中、消費税がスタートした。まだ記憶に新しいところである。当時学生だった筆者は、大学で消費税について少しばかり学習する傍ら、生活防衛の意味も込めて、出納帳を付けるようにしていた。全体の支出の中で消費税がどれだけ占めるものかチェックしていたのを思い出す。店によって、計算の仕方が違うことも会得した。30円の小さなスナック菓子を買うと、30円×0.03=90銭分の消費税が上乗せされることになるが、これを切り捨てるか、切り上げるかが店によって違うのである。30円で買える場合と31円かかる場合と。切り上げは便乗値上げのようなものであり、客を愚弄した行為だと思ったものだ。小さな買い物をして、店を比較してみる。切り捨てで課税する良心的な店を選ぶようにし、倹約に励んだものである。

 1年も経つと消費税が当たり前のようになっていて、抵抗感も薄れていったが、例えば90円単価のものを1つ買えば、92円で済むが、2つまとめて買うと185円になってしまうことには、ずっと腑に落ちないものを感じていた。どの店でも単価に対して課税し、あとで合計すればいいものを、そう常々思ったものだ。1円を笑うことなかれ。店によっては、まとめて買うよりは、個別に買った方が安く買えることが実際にあったのである。(この倹約精神は今でも続いているが、時として思わぬところで要らぬ出費をしてしまうことも変わっていない。)

 という訳で、1円を軽んずる仕組み上の欠陥もさることながら、税率を上げることで、消費を冷え込ませる効果も確認?!された消費税。消費刺激につながる具体的な国策が打ち出せないでいる状況に発憤した流通・スーパー業界の一部が11月11日頃から「消費税還元」を銘打ったセールを始めた。タイトルがめぼしかったのが良かったのか、ただでさえ利益(利益率も)が一番いいI堂は、かなり客足を伸ばしているようだ。筆者の勤務先である武蔵小杉と筆者地元の赤羽にI堂はあるが、どちらも賑わっていた。ふだんの同じ時間帯での混み具合がわからないので、一様には言えないが、レジに並ぶ列の長さを考えれば、好調と言っていいと思う。武蔵小杉店は専門店も抱えているので、専門店も同時に5%還元をしないと効き目が鈍るような気もするが、そこは個別の事情で致し方ないのだろう。換金性の高い金券やチケットの類の他、介護用品なども対象外になっていたが、それ以外の店内全品どれをとっても、還元の成果が現金ですぐに返ってくるところがツボを得ている。貼り出されていたレシートの拡大見本を見ると、合計額10,700円に対し、いったん5%を引いて、そこへ5%課税することになっている。単純に課税しなければ、5%浮くことになるが、いったん引いて母数を小さくしてから、1.05をかけることで、実質的な値引きになっているところがポイントである。10,700×0.95=10,165円、10,165×1.05=10,673円。という訳で27円おトクになっている。さすがは利益率トップというだけのことはあると感服した。(ちなみにI堂系列のコンビニは「不況突破企画」と打って出た。客を鼓舞するのにこれほど明確なメッセージがあるだろうか。)

 一方、売上トップのDはどうかと言えば、レシート合計で10,000円超に対し、500円のお買い物券進呈という設定で、何とももどかしい還元である。実際に消費税還元という打ち方はしておらず、単なる「生活応援」なので、還元の意図はないのかも知れないが、お客にとってはあまりメリットがない話だと思う。(10,000円に満たない買い物では5%分を享受できないのである。) それにわざわざ買い物券という紙片を用意しなければならない訳だから、紙資源を使う上、コストがそれだけ余計にかかってしまう。D社長は、日頃から値下げするのが消費者サービスと高言していた。だが、それは商売道の基本に沿った考えであって、この時世においては、セールの目的を客にわかるように明示し、活気を起こさせる方が、全体としては得るものが大きいのではないだろうか。武蔵小杉には、I堂の他に、Dグループの○エツが店を構えている。店舗の大きさのせいもあるだろうが、○エツの方はI堂に見たような賑わいはなかった。店員も心なしか元気がないように見受けた。I堂より5日間長く、11月20日までお買い物券プレゼントを続けることになっているが、どれだけの効果が出るものか疑問に思う。本当に消費者が求めているサービスをタイムリーに提供しない限り、Dグループの利益及び利益率の向上は望めないのではないか。そう感じさせる展開だった。(話はちと逸れるが、今の時期、商品を半額にして、とにかく客足を増やし、結果的に何倍もの売上に結びつけるという事例をよく見聞きする。常にディスカウントする場合は薄利多売と言えるが、一時的に思い切った値下げをすることで、消費を刺激する策は歓迎できる。客側・店側にとってメリットがあるのは言うまでもない。)

 赤羽にはI堂の他、Dもあれば、S友、N屋もある。それぞれどんな展開になっているか、最終日までにのぞいてみようと思っている。ただ心配なのは、日頃の奉仕価格を取り下げて、還元分を吸収すべく一部の商品で値上げでもしやしないか、という点である。安いからといって、何でもかんでも手を出すのは慎みたいものだ。

 東急ハンズ都心型1号店としての渋谷店が開店して、9月でちょうど20年になるという。都内では、渋谷の他、池袋、新宿、二子玉川園、町田にあるが、筆者の身の回りにあるちょっとしたお役立ちグッズは、だいたいそれらのどこかの店で仕入れたものが多い。東京に戻ってきて10年余りが経ったが、その間それだけお世話になっている訳である。一利用者のこうした状況からして、一般的にはこの20年という歳月の間に東急ハンズが得てきた存在価値や果たしてきた役割は決して小さくないと思う。

 多少小遣いの額がアップした高校時代、大阪で暮らしていた筆者は、とある日、朝刊に入っていた「東急ハンズ江坂店」の四つ折りの特大広告を見て、すっかり魅せられてしまったのを思い出す。家族のリクエストを無理やり聞き出し、口実を作って、ためていた小遣い1万円ほど持ち出して、東急ハンズに乗り込んでいった。13年ほど前の話である。これまでお店の人が使うような専門の道具の数々が自分の手に取れる上、それが買えてしまうのだから、えらく胸躍ったものだ。(蛇足ながら、その時買った品で傑作だったのは、20面体サイコロだろう。自作の長篇双六ゲームでずいぶん重宝したものだ。) さらに、「自分の手を使って、あらゆる素材を操る、そんな「手の復権」を全ての人に開放する」、要するにコンセプトを提示するのが商売、という店があるのを知った時は、買い物の満足感に加えて、精神的にも充実でき、ハンズ初体験日は実にいい一日だった。

 さて、東京に戻ってから初のハンズ体験は町田店だったが、毎年8月の末頃、全店挙げて開催される「ハンズメッセ」に出くわしたのも町田店が最初だった。町田店はハンズの中では大きい方なので、扱う品数も多い。一般商店ではなかなか手にできない物がセール価格で並んでしまうのだからこれは二重の喜びである。(何を隠そう、先述した筆者身の回りのハンズ購入品の多くは、このメッセで手に入れたものが大多数である!) 加えて、レシート合計3,000円で1回、ハンズオリジナルグッズのクジが引けてしまうというおまけまで付いているのだから、冥利につきる。忘れもしないこの時のハンズメッセでは、自分で買った分では3,000円に満たなかったものの、検印のない高額レシートを恵んでもらって、3回抽選させてもらい、C賞(時計)・D賞(ミニドライバーセット)・参加賞のそろい踏みという幸運をつかんだ。(ビギナーズラックの典型か、この後は何度抽選に臨んでも参加賞ばかり...) という訳で、ハンズの、とりわけハンズメッセのとりこになって10余年。今年も8月25日から30日までの期間中、池袋、新宿、渋谷の3店舗をハシゴすることになってしまった。筆者が年をとったせいか、さすがに江坂店で最初に感じた、商品一つ一つが放つ強烈な個性や主張は近年感じられなくなってきたが、しっかりしたコンセプトのもとに集められる限り、その品々は普遍性を以って、いいモノであり続ける訳だし、ましてそれが「特別提供品」や「処分品」だったりすると、目が煌々と輝いてしまうのは相変わらずである。

 3店舗に限った話になるが、今年の特徴として感じたのは、フロアに占めるメッセコーナー(要するに「特別提供品」と「処分品」)が平年より広く確保してあったこと。そして至って少数だが、昨年もメッセ品として出ていたものが再登場していたこと。の2つである。不景気な時世にあっては、東急ハンズとしても商品のやりくりが難しくなっているのでは、とふと思ってしまった。処分品にあっては在庫一掃の意味もある訳だから、これが増えるようだと、商品の回転が思わしくない、と悟られてしまう訳である。ともあれ、利用者としてはそんな心配も、果ては自分の財布の心配も忘れて、すっかりバーゲン状態である。(と言っても、買い物袋を持参するのと、包装を断るのは忘れませんよ。)

 今回仕入れた物のうち、自分で主に使うのは、大容量のクリアファイル、靴磨きクリーム缶の詰合せ、それと小型のシュレッダの3品。買った後で考えると、別にハンズでなければ手に入らない、といった物でもないことがわかる。それだけいろんな物がいろんなルートで入手できるようになったということなのか、はたまたハンズそのものが没個性化してきているのか、いややはり自分自身の感性が鈍って来ているせいか、などと案じてしまうのだが、まぁ市価よりは確実に安い、ディスカウント店よりもちょっと安い、今はそうした基準でメッセを活用するようになった、というのが正直なところである。さて、メッセならではの抽選の方だが、言わずもがな、参加賞のオリジナルポストイットのみ。結果はどうあれ、この楽しみがおまけで付いている以上は、メッセは健在だろうと思う。(それにしても、かつてE賞まであったのが、近年はA~C賞まで。それもA~Cまでの対価も肩並びな印象で、ここにも景気の翳を感じてしまうのだった。)

 10年前に買い求めた「東急ハンズの本」(1986/05)を繰ってみると、「ハンズのキーワード集」なるページがあった。目に付いたものを挙げると、「ハンズ的なところに初めて何かがある」「店がつくる店でなく、お客様がつくる店」「精神は素人で、商売はプロで」「ハンズは情報で人に教えない」「永遠の新規事業」「割り算で割り切れるようなスッキリした答えは見つけない」「モノを通しての自分の生きがい」「マイナーの価値観を大切に」「素材と道具という切り口」「効率の顔でなく、つくり手の顔」「商品を見つけに来るのではなく、自分を見つけに来る」「HANDS-the first tools of Creation」...東急ハンズの店員はどこかしら町工場の職人然とした実直さと温かさがある。こうした精神則が息づいている故と改めて思う。これからも応援したいし、お世話になりたい、今はそんな気持ちである。(東急ハンズを推すのであれば、消費生活アドバイザーとしてもっときちんと批評すべきなのだろうけど、それは別の機会に委ねることにしよう。)

 分譲マンションには管理組合がある。一戸を自家として所有すると、その世帯主は管理組合に属することになるから、組合員ということになる。会社だと管理職になる前は、労働組合に入る人もいるから、やはり組合員。これで生協にも加入していたら、ここでも組合員である。日本的とも言える代物だが、組合が一大メンバーシップであることには違いない。(メンバーシップ以前に、個人としてのIDをまず確立したいものである、とはいつも思うことである。どこかのメンバーでなければいられない、つまり所属することでIDを満たそうとするのはいただけない感じがする。)

 さて、筆者もそんなこんなでマンションの管理組合員の一員であるが、組合員だけでは済まないもの。管理組合では理事会というものを組織する必要がある。入居したての時は、自分が早々に理事会のメンバーになることはまずないだろう、というのも、そうした世話役的な役割は相応の年令の人が務めるものとタカをくくっていたからそう思っていたのだが、ひょんなことからマンション管理人さんのご推薦などを仰ぎ、今夏から向こう一年、理事会に加えさせてもらうことになった。(「荒川クリーンエイド」の参加を掲示板でよびかけたり、組合の会合でいろいろ発言したりしたのがひっかかったらしい?) もちろん理事長・副理事長は務まらないから、施設、植栽、町会といった一般的な役回りを互選することになるのだが、自宅にパソコンがある、という理由もあって、書記+広報、ということで落着した。これでまた一つボランティアワークが増え、ありがたい限り?!である。

 月1回ペースで理事会が開かれる。これまで2回理事会があったが、前期の理事会からの持ち越しの案件がいろいろあって、今のところ引継業務の処理といった感じである。ともあれこっちは書記担当なので、会での議事をひたすら書き留めるばかり。これまでもマンションの自治という自己意識から、共用部分で気になることがあると管理人さんに言ったり、会合で発言したりしていたが、理事ともなると不思議とまた一層、意識に違いが出てくるものである。余計なお世話かも知れないが、例えば、ゴミ集積所の出入口付近のゴミストッカがいっぱいになる(出入口の近くからいっぱいになってしまうのは、人間の習性と言えようか)と、空のストッカを引っ張ってきて、ゴミを捨てやすくしてみたり、勝手に投函されるビラやチラシを処分する専用のゴミ箱があるが、その周りに紙屑が散らかっていると、それを片づけてみたり、といった具合でひそひそやっている。紙屑の方は、少しは甲斐があって最近は散らかることがなくなってきたが、ゴミ集積所の方は相変わらずである。別に出入口付近からたまっていくのが悪いと言うのではなく、ゴミ量が多いのがどうも気になるのである。集積所と言っても、独立した建物になっているので、鍵さえあれば24時間いつでも捨てに行ける、という気軽さもあって、ゴミを捨てることに対する負の意識が低くなっているのではないかと考えてしまう。理事となったからには、ゴミの削減をよびかけるのも許されるものかな、と思っているが、まずは古本やまだ使えそうな家財をリサイクルする提言が先、とも考えている。書き留めるばかりでなく、そろそろ余計なお世話根性を発揮して、新理事会ならではの施策を打ち出したいものだと思う。

 この際なので、理事会での議事の一端を紹介してみようと思う。筆者にとっても、地域やマンション生活の日常が知れて面白いぞ、と感じている理事会。こうして書き出してみると、確かに面白い?

  1. 諏訪神社大祭への参加
    ・大祭への参加申込が、小学生10名、未就学児童2名から届いている。
    ・こどもによる神輿かつぎは、8/22と23の両日。大人は、8/23(12:00~)のみ。
    ・半纏は50着分、支給されるが、その他の用品(鉢巻き、手ぬぐい、さらし、足袋等)は自分で用意する?
  2. プレイロットの凹凸補修
    ・凹凸を補修する工事方法が不明確だったため、工事会社に電話で確認したところ、特に凹みが激しい箇所は、砂を入れた上で「転圧」し、地面を固めてならしてから、荒砂を敷く、とのことだった。
    ・こどもが砂で遊ぶのは致し方ないことなので、砂場を作るなどしたいところだが、砂場は管理が大変なので設置は難しい。
    ・鉄棒の下は特に凹みが激しいので、盛り土をしたり、木材を埋めるなどして強化することも考えたい。
  3. 植栽のアーチ
    ・プレイロット周縁の植栽にアーチ(柵)を新たに設ける場合、2.の工事業者ではなく、出入りの植栽業者に依頼することにする。
  4. 未登録自転車対策
    ・9/30までに登録を済ませるよう全戸に通知を出し、10月になったら、一カ所に移動させた上で、未登録自転車を撤去するようにする。
    ・自転車に関する注意啓発は、繰り返し行なう必要あり。組合だよりや単発のチラシでよびかける他、各階懇談会でも話をする。
  5. 通路(廊下)のルール
    ・組合だよりでの注意喚起にもかかわらず、エントランスの乗り入れ・走り抜けが後を絶たない。三輪車を含め、引き続き注意を促す。
    ・理事会で館内巡回を実施したところ、通路上に放置している自転車は見かけなかったが、特定階ではまだ物を放置している所が見受けられた。
    ・通路の共用に関する注意も定期的に行なうようにする。

 今月の理事会ではこの他に、カラス害がなくなった話、信号機設置に向けて署名を集めようという話、大規模修繕計画に関する提案説明、防火管理者講習会の話などが出た。そして筆者提案であるリサイクル品の情報交換「あげます・ください」掲示板の話も何となく採り上げてもらった。(次回でもっと具体化させようと思う。) 書記+広報ということで、これら議事を理事会用の議事録としてまとめる一方、それが終わると館内全戸に配布する「管理組合だより」に議事をアレンジして諸注意やよびかけ文を載せるという作業が待っている。ワープロ作業は手慣れているとは言え、ちょっとした労働だとは思う。

 10月には流域一斉開催の「荒川クリーンエイド98」が控えている。ここは広報の特権として、管理組合だよりで参加よびかけを行なうつもりで考えている。もちろん、来月の理事会でまず話題にする必要があるけれど。

 数ある食べ放題ネタの中で、食べ甲斐があるものと言ったら、筆者は寿司を推す。もちろん回転寿司で100円~150円の皿で回ってくるようなネタばかりの食べ放題ではあまり意味はないが、300円・400円皿で出てくるようなものを含めて、好きなだけどうぞ、と来ればこれ幸いである。

 これまで例えば、新宿三越裏その他にチェーン展開しているI寿司や、銀座、池袋、渋谷で名高いH鮨へ足を運んできたが、価格対満足度という点などから、どっちも一歩及ばず、という感を抱いていた。H鮨は高級感と洗練さが売りだが、品切れが多い点とネタ自体があまり大きくない点に不満があった。4,300円は決して安くない価格だと思う。他の食べ放題寿司店は大体2,000円~3,000円台だから、いわゆる和食・洋食バイキング系と比べるとどうしても割高感があって、なかなか足が向かない。それで、回転寿司屋の均一料金感謝デーなんてのがあると、高そうなのをねらってみては価格対満足度を満たすことになる訳である。

 さて、高円寺と聞くとラーメン店のメッカという印象が強いが、寿司屋の有名店もいくつかあるようだ。激戦区になれば各店知恵を絞るから、食べ放題をやる場合も相応の工夫が出てくる。そんな背景から価格対満足度という点で良さそうな店が見つかったので、早速出かけてみた。

 さぞ、行列待ち状態だろうと思いきや、あっさり席を通され、まずは合格。IやHではネタの書かれた紙に数を書いて注文する席待ち方式だったが、ここでは寿司桶に入ったものをめいめいがとっていくバイキング方式。90分制限と言いつつも、これなら回転がいいから席が空くのも早いのだろう。加えて、自分で気に入った艶、大きさの寿司をつまめるのだから、これはありがたいシステムである。

 50音順に書き並べると、赤貝、穴子、甘海老、鮑、烏賊、鰯、鰻、海老、蟹、小柱、鮭、蝦蛄、炭火焼鮭、鯛、蛸、玉子、とり貝、ハマチ、平目、ビントロ、帆立、鮪、これにグンカンものがいくつか。

 と品揃えはまあまあである。ケーキバイキングよろしく途中でメニュー替えされることになっているので、もしかしたら出てきたのかも知れないが、エンガワ、カジキマグロ、数の子、鰹、鰈、白魚、ホタル烏賊、ボタン海老、あたりまで揃えば天下無敵だと思う。しかしO157で問題になったイクラはやはり見かけなかった。イクラが並べば、H鮨程度の高級感は十分出せそうだ。

 1ケあたりの単価を平均的に見積もって80円だとすると、この日食べたのは全部で35ケだから、2,800円。これが1,850円で済んでしまったのだからおトクである。この店のさらに良心的なところは、寿司だけでなく、味噌汁、フルーツポンチ、おまけにジャーマンポテトフライまで食べ放題に組み込まれていることである。寿司だけだと単調な上、途中で食欲が鈍ってしまうところだが、箸休めにポテトフライでも、となれば引き続き食が進むというものだ。一口に35ケと言うが、1時間余りで食べ終わってみて考えると、これはちょっとした数だと思った。回転寿司の場合、多くて10皿くらいだから、それの約1.7倍。ちょっと食べ過ぎたようだ。近海の魚介というふれこみだったからまだ良かったが、これが輸入物だったとしたら、食べ過ぎ・飽食は慎みたいところである。まして食べ残しが出るようでは、魚介類に申し訳ないことこの上ない。食べ残しは認めない旨、貼り紙が出ていたから、これまた気に入った。食べ放題は食べ残しと裏表。利用する時はくれぐれも心したいものである。

 7月に入ってから連日の夏日続きでバテ気味だったが、この食べ過ぎのおかげで、余計に体に負荷がかかってしまったようだ。食べ終わった後、外は大粒の雨。暑さの割には夕立や稲妻が来ないなぁ、と思っていたところだったので、雨と雷鳴に遭ったおかげで、食べ過ぎが気分的に緩和され、清々しくなれた。高円寺はアーケードの商店街で有名。雨をしのぎながら駅までたどり着くことができるので、助かった。だが列車に揺られて、乗り換えて、というのは身体的に食べ過ぎである以上はちと応えそう。赤羽と高円寺は環七通りでつながっているので、いい機会だと思い、バスで帰途に着くことにした。満腹の身にはバスの揺れは心地よい。時折、稲光で明るくなる夜の街並みを眺めながら、のんびり帰れるってのはなかなか乙なものである。

 ☆おかげさまで20話まで来ました。引き続きご愛読いただければ幸いです。

 髪を切る。男の場合は洗髪して顔剃りして、最後にセットもしてもらうから、髪を切るだけにとどまらない。店によっては総合調髪などと言う所以である。筆者は髪を整えることに関しては無精な方なので、一度切りに行くと、できるだけバッサリ切ってもらって、2~3カ月後に又行くといった具合だから、下手をすると年に4回程度しか行かないこともある。さて、一度その調髪に行くと、待ち時間を除く正味時間で、40分~1時間は優にかかってしまうので、時間を要することもさることながら、加えて何が困るかと言えば、やはり店員との会話やかけあいだろう。ずっと黙っているのも変だし、かと言って、根も葉もないことを話すのもどうかと思うし... 店員からいろいろ話してくれればまだいいが、そうすると今度は、話しながら鋏を入れたり、髪を梳いたりするのは、手元が狂ったりするんじゃないかと、こっちが要らぬ心配をしてしまう。そんな訳で会話に集中できなくなってしまうのは、筆者くらいなものだろうか。

 そんな調髪の悩みを解決してくれる店があることがわかったのは、築地、東銀座界隈を出歩いていた折りのこと。ふと目にしたヘアカット専門店は、10分間、1,000円とある。純粋に髪を切るだけで、洗髪・顔剃りなし、ということだ。その時は、切ってから間もないことだったので入らなかったが、次回はぜひこの店に、と思ったものである。

 縁はつながるもので、別の機会に新橋から虎ノ門方面へ行く途中で、西銀座で見たと同じ、このヘアカット専門店に出くわした。東銀座よりは駅からのアクセスが良かったので、いよいよ気分が乗ってくる。よし、次はここにしよう!と心に決めた。それから実際にこの店に入るまで、そんなに月日を経なかったのは、これまでは髪をちゃんと切りたいという思いが、店員との会話はどうも苦手、という気持ちに負けていたから、のようである。

 店は2Fなので、狭い階段を上がっていくと途中、切った髪の固まりが落ちていた。「?」と思いつつも、とにかく入る。「こんにちは」という挨拶で迎えられ、店員の印象は頗る好い。なにわ弁風の店長らしき人に、券売機を案内され、千円札のみ受付可(両替には使えないというのがポイント)の挿入口にお札を入れ、カードと引き換える。このカード、どういう意味があるのかと思ったら、待ち順番を整理するのが主目的らしい。価格体系が1,000円しかないからできることでもあるが、先払い式で会計がスムーズになるなら、客としてもありがたい。

 空いていたので、すぐに通された。扉大の全面鏡を開けると、案の定、扉になっていて、客の荷物を収めることができるようになっている。待ち合いソファの傍らにあるような単純なロッカーでは、散髪してもらっている間、荷物に目が届かないので少々不安になるが、自分が向っている鏡の後ろに荷物があるなら、心配無用である。まずは気に入った。切る長さを聞かれるところは基本だから当然としても、その後は時間が限られているから、特に口をきく必要がない。実に気が楽である。霧吹きの後、鋏を入れて、とここまで5分かかっていない。これはいいと思っていたら、おっとバリカンが出てきた。耳の周りやもみ上げの部分は、ふつうの店では鋏仕事だったが、ここでは電動作業。耳のあたりでガーとやるもんだから、結構たまらない。静音設計のバリカンがあればまだ救われるのだが... ともかく髪を切る作業自体はあっと言う間の出来事で、ありがたかった。切る人と整える人では分担が分かれる。7分経ったところで、仕上げ専門の店員が現れて、どうなることやと思いきや、今度は掃除機のノズル状のものを取り出して、再び「ガー」が始まった。洗髪がない、つまり髪の切屑を流すということがないから、こうなる訳である。耳のあたりでこれをやられると何ともたまらない。やはり10分間散髪にも良し悪しがありそうである。鏡の上のことわり書きに、「自然な仕上げをめざす」とあるのを見てつい納得してしまった。ひととおり終わってよく見ると、10分以内で仕上がらない散髪はしない、という意味も改めて理解できた。今までみたいにバッサリでは、時間オーバーになってしまう。10分散髪でだいたい1カ月前程度の長さになったというところだろう。それでも変に気を遣う必要がないし、何より早いというのはやはり助かる。洗髪は自分で、せっけんシャンプーなんかを使ってしたいし、ヒゲは生えない方だから顔剃りも特に要らない。経費も節減できる訳だから、言うこと無しである。仕上げで使ったクシはプレゼントしてくれた。次回、持って行けばリサイクルになるし、常連ヅラできていいや、などと思いながら店を後にした。筆者同様、店員との会話に困っている人が多ければ、この手の店は流行りそうである。(時間と費用を重視する客の方が多いだろうけど) 客が理髪店に求めるQCDや満足度を測るのは難しいところだが、これは一つの解だと思う。

 そういや髪の切屑、ブラシで落としたっけ? 店の入口で髪の固まりが落ちていた理由がわかった。

 銀座挙げての「バリアフリークリエイション'97」なる催しが行われたので、見に行った。街中のそこここでの開催という点もすごければ、協賛企業・協力団体の多さにも目を見張るものがある。お年寄りや障害を持った方、そしてこどもたちにとって、世の中の工業製品・商品は何らかのバリア(障害・障壁)を有していることは否めない。物に限らず、施設や交通といった社会資本にもそれはある。バリアフリーという発想は、世間一般の健常者というか、最大公約数的な人を中心にしたところからは出てこない。いわゆる弱者優先の論理だが、人にとってやさしい物は、あらゆる普遍性を兼ね備えることになる。お年寄りや障害を持った方にとっての使いやすさは自ずと、一般の人にとっての使いやすさと直結するのである。バリアフリーと言う言葉自体は最近のものでもないのだが、時間をかけて確実にトレンドになってきたことを感じさせる。

 何カ所かあるバリアフリーの展示の中で、ソニービルで開催された「共用品だからもっとみんなが使える」展に足を運んだ。バリアフリーをテーマにした製品・商品がくまなく展示されていて圧巻だった。この手の発想で名高いのは、0~9のテンキーの中心に位置する5に付けた小さな凸や、テレホンカードの挿入方向を間違えないために施された切り欠きなどが挙げられる。何の変哲もなさそうな小さな工夫だが、利便性の向上に絶大な寄与となっていることは言うまでもない。

 数あるバリアフリーグッズの中からいくつか目に付いたものを紹介したい。まずは、「座シャワー」。その名の通り、座ったままシャワーが浴びられる優れものである。首から腿のあたりまで、くまなく温水があたるよう噴射ノズルが付いている。体が不自由で浴槽に入りにくい方には特に重宝しそうである。次は、各種プリペイドカード。テレホンカードに限らず、オレンジカードやバスカード、図書カードやふみカードなど、多種多様なプリペイドカードが出まわっている世にあって、これらカードを目を閉じた状態でも判別できるようにできるなら確かに便利である。買い物・乗り物・テレホンの3種を共通仕様にして、切り欠きの形を変えて配布する試みが始まっている。そして食器洗いを兼ねた台所シンク。給水口から出る水だけでなく、シンクの脇からもシャワー状に噴水が出れば、洗い物にはもってこいである。片手で食器を持って、もう片方の手で洗う、という手間が少しは省ける訳である。他にも、右左の識別用の点字を施したヘッドホンや、扇風機タイプのハンドフリードライヤー、操作ボタンの大きさにこだわったラジカセ、などなど。スーパーやデパートで時折見かけるアイデア商品バザールの類でも、バリアフリーに適ったものに出くわすことはあるが、はじめからバリアフリーを意識して作られたのとはやはり迫力の違いを感じざるを得ない。

 会場の壁面には、主催者であるE&Cプロジェクト(Enjoyment & Creation)の日頃の研究成果が展示してあった。中でも仕事柄、目に留まったのが、取扱説明書班による様々な取扱説明書が持つバリアに関するアンケート結果。大多数の声として挙げられていたのは、

  • 全体的内容が把握できない。
  • 見えにくい色文字が注意書きとして重要なところに使われている。
  • 点字やテープによる取扱説明書が用意されていない。
  • 図が多すぎる。
  • 文字が小さい。
  • 細部(修理・保全等)の説明がない。
  • 細部にわたって書かれすぎている。
  • 専門用語やカタカナ語が多すぎる。

 といったものである。さらには、

  • 有料でもわかりやすいものがほしい。
  • ビデオ・CD-ROM等のオンラインマニュアルがほしい。

 との追記がある。PL法の絡みもあって、取扱説明書が果たす役割は重要この上なくなってきている。買い求める側にも確実に取扱説明書を読み込んで、正しく使用する責任が問われる一方、製造・販売側にも、いかにバリアが少ない(あるいは皆無な)取扱説明書を提供できるか、という点が問われている。肝に銘じておきたいところである。

 ご飯が好きなわりには、自宅で炊いて食べることが少なく、去年の夏休みに一ノ関に旅行した際に、知人にすすめられて買った宮城県米5kgがこの間やっとなくなったばかりという有様である。そろそろ買わなければと思い、赤羽駅に隣接する商業ビルの地階にある米屋を訪ねた。

 前から通りがかる度に気になっていた店だったが、実際に中に入ってみるといろいろと面白い工夫がされていて好印象を持った。どこの県でとれたどの銘柄か(有機米かそうでないかも)が書かれた大きな米桶がいくつか並んでいて、2kg、5kg、10kgの3通りの量り売りというスタイル。客はどの米を何kgと指定して、精米機にかけてもらうのだが、精米にレベルがあって、玄米 白米で好みの粗さ細かさが調整してもらえる。米桶には、籾殻が付いたままの生の米が入っている訳である。さすがにそのまま炊く訳にはいかないので精米は必要だが、必ずしも真っ白にする必要もないことがわかった。何より客の好みでカスタマイズできる点が優れものである。

 とれたてと言われ、茨城県産のコシヒカリを2kg分、頼んだ。どうやって精米機まで運ぶのかと思ったら、簡素なバケツを持ってきて、ざっと汲んで、米桶の足元のデジタル計で量っている。何と一発で2.1kg余りを指している。そのまま精米機に汲みあけて、レベルはどうしましょうか?と訊く。何回か調整してもらいながら、結局玄米と白米の中間くらい(と言っても白米が目立つが)でお願いした。何で2.1kgでかけたのかと尋ねると、極端な例で10kgで白米度が一番高いレベルにすると、糠(ぬか)が出て、1割程度目減りしてしまうからとのことで、多少上積みすると丁度よいのだそうである。最初から精米して量って売るのと違う難しさを感じた。

 袋がまた良くて、お米のことを考えたというだけあって、クラフト素材のコンパクトなものだった。ヒモで縛ってはい出来上がり、である。今度行く時にまた使える設計になっているのだと思う。ちなみに値段はkgあたり均一で、2kgで999円(税込み)だった。

 茨城県産でも具体的にどのあたりか尋ねたら、古河や結城の方に、「さしま」というところがあって、そこの契約農場から運んだものとの答え。「さしま」を地図で調べたら、「猿島」でさしまだった。利根川の比較的近傍で、千葉・埼玉県境にも近い。どんな味がするのか、今から楽しみである。

 そう言えばバケツの重さってちゃんと差し引いてたかいな、と帰ってから心配になり、キッチンメーターで量り直したところ、1950g程度だった。ちょっと不満もあるが、一発で汲み上げた店員の技量に敬意を表することにして、矛を収めることにした。でもこれは量り売りの盲点。やはり精米後に、袋の重さを引いてビシっと決めてもらいたいものである。

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